『アミューズメントメディア総合学院』学園祭 前田監督×ソエジマヤスフミ氏スペシャル対談

参加してきました。10分ほど遅刻してしまって最初のほうは聞き逃したのですが、内容は前田監督、ソエジマ氏の経歴から「巌窟王」の製作話、3DCG・テクスチャの演出意図、学生へのアドバイスなど。


3DCGはあえてワイヤーフレームやポリゴンそのままが目に付くように製作している。不自然にならないように作っても面白くないので。(グラフィカルな面白さを狙った?)
#パリの上空に浮かぶカラフルな気球などは3DCGにも関わらずベタベタな2Dグラフィックに見えるのですが、線画を強調した処理は60年代ポップアートグラフィックや、星新一氏の短編集の挿絵(真鍋博氏のカリカチュアグラフィック)を想起させます。そこまで恣意的に作られているかどうかといわれるとたぶん違うのだろうなあとは思いますが。(ただ、前田さんの画風として60〜70年代ポップアート的な処理を多用する[一番わかりやすいのは1999年のアニメージュカレンダーとか、最近のピクトアップ連載の「前田真宏。23区」とか]趣向があるのでその流れかなと思います)


キャラクターの服飾や髪に使われるテクスチャーは切り絵的な効果を狙ったもの。3Dモデリング化して丸みを持たせることも実はできるんだけど敢えて画面を平面的にみてほしいので使っていない。最初からテクスチャーでやるぞー!ということではなく、スタッフ内でも賛否があって紆余曲折した。情報過多でじっくり演技を見てもらえないのではないかとか、画面がうるさくて目が疲れるのではとか。セル塗りのベタッとした質感もすごく好きなんだけどいつまでもそればかりやってていいものかと。
#企画が立ちあがった当初は普通のアニメーションではなく”絵物語”で作れれば面白いと思われていたそうで、人物にテクスチャーを適用するのはその時に着想し(動かない絵なので画面密度を上げたい)そのままアニメーションでこの効果を使ってはどうかという流れがあったと思います。絵物語なら全体のレイアウトを緻密にコントロールし、絵画的な構図にすることでテクスチャーも最大の効果を発揮できると思うのですが、現状ではコンテ、レイアウトの段階ではテクスチャーのことまで思慮が及んでないために(というかテクスチャーの組み合わせまでを考えてレイアウトを切るのは非常に複雑な作業になってしまうので、進行を考えると当然のことながら”そこまでは考えない方向で”いかざるを得ない)、やや画面的には煩雑になったり、視覚的に判りづらい部分がでてしまっているように思います。あと個人的には切り絵的効果というか、透過光があいまってステンドグラスのイメージが強くなり、それが場面によっては宗教的な雰囲気をかもし出しているように思います。
今回のテクスチャー導入については「青の6号」で3DCGIを積極的に取り入れた時と同じようにデジタル表現のステップアップを狙うようなニュアンスが感じられました。言葉は悪いですがある意味”実験的”と言っていいかもしれません。この作品でテクスチャー表現の手法が確立されれば作画陣の負担にならない形で(←ここ重要です)さらにテキスタイル表現の幅が広がるでしょう。


現在シナリオは完成、コンテも残りわずか。ちょうど今日の午前中は9話のダビング作業だった。


次回作について
「え、そりゃ構想はありますけど。まあ、今はこの作品に集中してますんで」(うろおぼえ)
#週刊アスキーのインタビューでも答えていたが、”日本の古代を舞台にした話をやってみたい”とのこと。もう間違いなく坂上田村麻呂アテルイのお話だとおもいますが。


他にもまとめておきたいお話が2、3ありましたがとりあえず。
個人的にはソエジマさんの苦労話+学生へのアドバイスが面白かったです。