映像新聞 巌窟王記事掲載

映像新聞12月13日 第1691号
P19 ジャパン・アニメーションの旗手たち(7)前田真宏
前田真宏インタビュー

(途中抜粋)
原作は、幸福から一転、理由もわからぬまま罪に陥れられ、全てを奪われた男の一大復讐劇。シナリオ構成の段階で前田氏は、「伯爵が行きつく先が見えず、何かしっくりいかない」と、時間軸に沿った原作通りの流れに疑問を持った。復讐と言うテーマから外れないように、話をきれいに終わらせる方法を半年ほど悩んだ結果、主人公を変えるアイディアを思い付く。
「復讐相手の一人息子であるアルベールの成長譚を描くことで、読了感を濁さずに終われるんじゃないかと思ったんですよね。原作は、大人達の復讐劇に子供や妻たちが巻き込まれる話で、そこが面白くもあり悲劇でもあるんですが、どうしても過去に収斂する話なので、その先が欲しくなる。それはやはり子供たちが背負っていくものなんだろうなと。主人公の目線をアルベールに変えることで、過去だけでなく、未来へと開かれた物語として成立するんじゃないかと思い、すっかり作り替えました」
(中略)
――深夜放送の「巌窟王」は、”昼メロ”ならぬ”夜メロ”だと言われてますね。
「視聴者の敷居は、とにかく下げておこうと思ったんですよ。夜中に見るものですし、神経が疲れる内容にはしたくない。最初は『虎よ!虎よ!』のイメージに引っ張られ、超能力などのガジェット(小道具)を色々考えていましたが、そういうものを入れ過ぎると、メタファー以上に話が複雑になり、普通の人の話ではなくなってしまう。説明のセリフをたくさん入れないと、話が理解できなくなるようなことは、一切止めようと考えました」

[更新途中]